自己株取得について
自己株式の取得とは、株式会社が発行している株式をその会社自身が取得することをいう。
従って、新聞報道等に見られる「自社株取得」という表現は不正確である。
「自社株取得」とは会社の役員・従業員が自分の勤務する会社の株を取得するような場合に用いるべきである。
株式会社は株式を発行して資本を調達しているが、自己の株式を取得するということは、
その調達した資本を外部に流出させるということになる。
そのため、商法は「資本充実の原則」という観点から株式会社が自己の株式を取得することについては、
限定された例外的な場合を除き、原則禁止としている。以下に主な例外を挙げる。
主な例外
- 合併によって自己の株式を保有することとなる場合
- 買取り請求が行われた場合
- 減資・設立時からの定款の定めによる配当可能利益の範囲内での株式の消却をする場合
また平成6年の商法改正によって、上記に挙げた場合に加え、公開会社の場合、
次の2つのケースが追加されることとなった。
- 定時株主総会の決議によって使用人に譲渡する為に取得する場合(取得後6ヶ月以内に譲渡する必要がある。)
- 定時株主総会の決議によって買入消却を行う場合
いずれのケースにおいても、自己株式の取得に要する金額は、配当可能利益の範囲内である必要がある
また、1.のケースでは、発行済株式総数の3%が取得できる株式数の限度となっている。
このように、自己株式の取得は規制が緩和されたとは言っても、
金庫株(会社が自己株を消却せずに保有しておくこと)の保有が禁止されていることや、
会社が取得後6ヶ月以内に使用人に譲渡しなければならないこと等から、
米国型のストック・オプション・プランはまだ導入することはできない。
自己株式の買入消却の効果・影響としては主に下記のようなことが言われている。
自己株取得の効果・影響
- 資本効率の向上が期待できる
- 経営者が自社の将来における業績に対して自信を表明することになる
- 需給関係に好影響を与える可能性がある